日本でも茶木が自生していたのは事実ですが、飲みかたは現在のお茶とは異なり簡素なものだったようです。山間部では自生木から採取し薬草茶のように葉を干して湯を注ぐ、又は発酵させ黒くなった茶を煮出すという具合で自家消費はあったものの、栽培種というわけではなかったようです。
日本での主力品種といえば静岡の「やぶきた」が有名ですが、本格的な植樹、栽培が始まったのは昭和に入ってから。明治時代に輸入された試験木はインド1号と名付けられ、静岡での試験栽培が始まりました。インド号を名乗る原木は数回にわたりインド、小生種は中国から持ち帰られ、在来自生種との交配を重ねることで現在の栽培種「やぶきた」へと繋げられました。
日本の栽培品種、流通シェアの7割以上を占めるのが「やぶきた」です。原木は以前、静岡の農業試験場に4本ほどあったのですが、うち2本が静岡県立美術館付近の津嶋神社にひっそりと移植されているようです。(原木栽培に関しては逸話が諸説ありで違う経緯をご存じのかたもおられることと思いますが、現在はこの神社で一般も見学可能)
静岡の抹茶は「合組なし」と言われるほど産地、採摘時期を同一とすることを尊び、京都宇治茶などは「合組よし」とする蔵出し*¹をブレンドすることを貴びます。
(*¹ 蔵出しとは初夏に採摘された茶葉を冷温貯蔵経て出荷する茶葉を指す。通常の茶葉より若干アミノ酸や糖類含有が高いとされている。製品特徴はとしてまろみやこくがあるお茶を謳うことが多い)