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お茶と心

近年、茶道は会社を退職し、セカンドライフを始めた方々の趣味とされることが多い風潮があります。
しかし、安土桃山/戦国時代の最中では年齢問わず多くの武人の間で茶道が流行していました。
この時代、武人とは勤め人、つまりは現代でいうサラリーマンということになります。

どの時代でもサラリーマンとは楽ではない人生、特にこの戦国時代はご存知の通り常に戦いと隣り合わせの世の中でした。
血を分けた親族であろうと、明日には命を狙われるかもしれないという命をかけた緊張の中に、武人たちは身を置いていました。
その武人たちが心の拠り所としたのが「茶の湯」

どこまでも戦いが付いて回るこの時代において、「茶の湯」のみが戦いを持ち込むことのできないものでありました。
そのため、亭主に招き入れられ茶を飲む時こそ、普段は敵襲を常に警戒する武人がうまい茶を飲むときだけ、その警戒心を解くことができました。
つまり茶は、常に戦場にある者たちの心を唯一落ち着かせることができる飲み物だったのです。

戦国時代とは環境がかなり違う現代とはいえ、異なる形で大きなストレスを抱えるビジネスパーソンは、気の抜けない日常を送り続けているといえるでしょう。
その中で茶は今も昔も変わらず我々の心をときほぐしてくれることでしょう。

心の休まらない時代には必要

近年、茶は茶道としても人気が広まっています。
茶道は状況によって変わる場合もありますが、決められた手順、「型」に則って亭主が客に茶を淹れることが基本です。
この茶を淹れるにあたり、亭主は全神経を集中し、「型」に沿って茶を客のために淹れる。

客も亭主の緊張を感じ取りながら茶をいただく。そして、茶を飲むことで初めて張り詰めていた緊張の糸が解きほぐされます。
ここに至るまでの「緊張」が客と亭主の心をリラックスさせるまでの結果のために重要となります。

「真のリラックスとは、緊張と表裏一体、一点に集中し緊張を得てその緊張が解けた瞬間、人の心はときほぐれる、心が解きほぐれるからこそ次の集中に向かうことができる。」
日々の生活でも、茶を一杯入れることに全神経を注ぎ、茶を全力で楽しむというのを生活に取り入れることが、今の心の休まらない時代には必要なのかもしれないですね。

S H A R E

この記事を書いた人

田村宗旬 田村宗旬 遠州流茶道 準師範

数か国海外留学した時に、他の国にはあまり見られない独創性を和文化から感じる。
戦国時代ゲームから興味を持ち、調べているうちに茶道がこの時代で重要な立ち位置にあったことを知る。
漫画「へうげもの」を読んだことで茶が面白いものではないかと考え、いくつかの茶道流派に体験に行く。
そこで今の流派の先生に出会い茶道を始める。

また、旅行・ダイビング・乗馬・ゲーム・漫画・アニメ等の様々な趣味を持ち、
大学時代にはシンガポールにて音と手触りを融合させた作品の展示を行い、現地の大学から推薦を受ける。
「Soundsislands Festival 2015」

現在は遠州流茶道 準師範
(遠州流は小堀政一に始まる武家茶道の一派)

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