お知らせ| 集中環境を整えるサプリ販売開始

ReFocus編集部が、アスリート渡部健介さんの「集中力」について、お聞きました。

インタビュー企画第一弾は、社会で活躍するビジネスパーソンの集中力にフォーカスします。アスリートはプレッシャーがある環境下で、日々自分と向き合う場面が多いので、自分の集中力の上げ方や、心の落ち着かせ方を知っていて、ビジネスパーソンがパフォーマンスを発揮する上でのヒントが、隠されているのはないか?
第一回目は、テニスプレイヤー、テニスコーチ、経営者として、世界を経験されてきた、渡部健介さんに話を伺いました。

Q:渡部健介さんにとっての集中力とは?

目次

ピークを作って、上げて下げる

僕が理想としている集中力のスタイルは“上げたい時に上がって、下げたい時に下がるパターン”

集中力が欲しい瞬間に上がり始め、集中力がほしい瞬間に上がっていく。

頂点までのピーキングや頂点からの落とし方も、ピークに合わせて落とすなど、シチュエーションに合わせて組み立てをするようにしています。


例えば、試合前に怪我でどこかを痛めたら、試合に痛め止めを飲んで出たりするのですが。


それは集中するために痛みを抑えている原理で、集中してパフォーマンスを上げたい時にそういうものがあって、流れを作れたら良いなと思ったりします。 

リフォーカス編集部

ずっと上がっている状態はありえないので、やはり下げて、心が安定している状態をどこかで作っておく。渡部健介さんのコントロール方法としては、緩やかな山を描いていくイメージで、リラックスしている時こそ、パフォーマンスが発揮しやすくなるんですね。

Q:試合前はどうやって自身を落ち着かせていますか?窮地に陥った時にはどうやって乗り切りますか?

音楽とセルフトーク

現役時代の試合前は音楽を聞いて、心を落ち着かせていましたね。
テニスっていかにミスを減らすかのスポーツなので、興奮しすぎちゃうとだめなんですよね。
それとは反対に落ちてくる時は、セルフトークを意識していました。


海外でプレーをしていた時、僕らのチームにスポーツ心理学のコーチがいて、セルフトークを教わりました。自分に問いかける言葉はポジティブにうまくいかなくても、いかないなりに、ベストを尽くす。常に前向きになれる言葉を用意しておいてください」というのは、すごく助けられましたね。


心の中で「今日は無理かも」と思う時こそ、「障害だけで物事を捉えるな」「やっている取り組みをもっと評価しなさい」と。「試合に負けたことは、ただの通過点で、勝つための次へのステップ、過程だから、もっとポジティブにやりなさい」と言われていましたね。


勝敗はあくまで結果で、評価ではないというのはスポーツが教えてくれたことです。
話は戻りますが、僕の場合は、自分を盛り上げる時はセルフトークを使わなければならないし、仕事でもそうですし、音楽はどちらかというと落ち着かせるために使っていました。

リフォーカス編集部

興奮に対しての冷静さがあり、交感神経と副交感神経のバランスが取れている状態ですね。
自分の状態をコントロールしながら、自身が客観的に見えているとも言えますね。
勝敗の話をお聞きして、大切なのはプロセスなんだなと思いました。
スポーツを学ぶ意味は、自分の生き方のマネージメントに繋がるし、それが子供のうちに体験できるのは、大きな活動ですよね。

Q:テニスはいつから始められたのですか?またコーチとして気をつけていることはありますか?

休む=トレーニング

8歳から始めたので、もう30年近く経ちます。ただし選手としては25歳で終わりました。
その後コーチになってからは、選手時代より、ピークの山をどこに持ってくるかをより意識するようになりました。ツアーコーチをしていた時は、365日がレースみたいなもので、特に指導者はメンタル面をしっかりマネジメントする必要があります。つまり選手を勝利に導くための戦略を明確に練らなければなりません。


必要な集中力を必要なタイミングでパフォーマンスが発揮できるように、指導者としてコーチングが求められます。つまりメンタル面の精神衛生を良好に保つためにも、休養することや、リラックスした時間を作ることが重要でしたね。


日本はどちらかというと、休む文化がなくて選手が壊れちゃうんですよね。そんなケースを多くみてきました。
僕も含めてなんですけど、休む=悪というか、落とす=恥みたいに思ってしまっているところがあって。「休む」というのも、立派なトレーニングであり技術なので。そういう意味では、最近は休むということに対して、勇気を持つようにと選手たちによく伝えています。


筋力トレーニングも、毎日ハードに鍛えれば良いのではなく、むしろやり過ぎると筋組織が壊れてしまいます。筋繊維を壊すと、筋肥大が起きるので、この時に筋トレをしても、あまり意味がありません。筋肉が肥大しているときは、しっかりタンパク質と筋肉に栄養を与えて修復させ、また筋トレを行う。“壊れたものを治して、壊して、治して”の連続なので、それで筋肉が肥大していきます。

リフォーカス編集部

筋トレと修復をセットで実施し、筋力をつけていく。勉強した後に睡眠を取ると、睡眠中に記憶がすごく定着すると言われています。アスリートも同様に、筋力または動作のイメージトレーニングだったり、記憶を定着させたりという意味では、睡眠もそうですが、休むことと興奮というか上げていくことは、これは常に一体という事なのかなと思いました。トレーニングはメリハリが大切で、休むことは罪じゃないんですね。

Q:指導者の立場で、子供達に教えてるメソッドなどはありますか?

急激な成長は、心の成長痛が起きやすい

一番大事にしているのは、積み重ねて、習慣化させることです。もちろん練習もハードに全力でやリますが。ただ、さっきお話しした恐れずしっかり休むこともそうですが、あとは急がない、焦らないことが大切です。


いきなり成長すると、精神面でも成長痛みたいなことが起こります。
身体が先に大きくなって、スポーツでのパフォーマンスは上がるんだけど、心がついてこない。


親は試合に勝つので喜びますが、低年齢から劇的な成長をしてしまった場合、僕たちは危険信号を出します。勝ちすぎていると勘違いしてしまいます。もっと試合、もっと練習、もっと遠征って、どんどん負荷を与えていくと、気づいたら心が壊れちゃう。どこかが痛いなら、休んでくださいと言えるけど、心って頑張ろう、頑張ろうとしちゃうので。ある選手はある朝起きたら、突然身体が動かないって子がいて、可哀想でした。

リフォーカス編集部

急激な山は反動が怖い。気付かぬうちにフラストレーションが溜まってしまうんですね。
特に若いほど、早めに赤信号に気づいてあげないといけない。体に負荷をかけすぎると、自律神経が乱れてしまうというのはアスリートだけではなく、大人やビジネスマンにも、共通して言えることですね。忙しすぎて、無理をしている時こそ、身体と心の声に耳を傾けてあげたいですね。

最後に、夢につながるテーマを一言で表すなら

ロングタームアスリートデベロップメント

ロングタームアスリートデベロップメントでしょうか。
この言葉には、「長期的な視野でアスリートを開発していく」という意味があります。

私はテニスやスポーツを通じた次世代の育成に、更に力を入れていきたいです。
昔はコーチというと、インスタラクターの概念に近かったですが、本来コーチという用語は「馬車」が語源と言われています。要はお客さんを目的地に導いていくことを指しています。

ファン•カルロス•フェレーロ選手と


コーチの本質でいくと、教えるよりも、僕たちは個々の能力を引き出すことが重要です。
仮に30歳で辞めたとしても、残り50年くらいは人生が続いていくので、その後の人生にスポーツの価値をどう活かせるか、そこにテニスという競技、アスリートとしての課題があります。


僕らは小さい頃から、セカンドキャリアやデュアルキャリアを踏まえて、どの分野でも発揮できる心の力や走り方、心の瞬発力、頑張る所、力の抜き所を自分の中で配分できる能力を、技術と共に教えていかなければならないと。
世界を舞台にどの分野でも、心の力を育てるというのがスローガンなんですけど、そこに尽力して行けたらいいなと思っています。グローバル人材を育成していきたいですね。

渡部 健介

(Watabe Kensuke)

日本オリンピック協会事業 元強化コーチング、日本体育協会 公認テニスコーチ
株式会社 1 ntegrators 代表取締役


2006年ネバダ州立大学(心理学専攻、犯罪法学部 副専攻)卒業
2007年よりプロテニスコーチとしてのキャリアをスタート。シンガポール Sanwa Tennis Academyにて、5年間、一般からジュニアまで、テニスコーチとして幅広く関わる。
2012年、13年にはツアーコーチとして日本でのキャリアもスタート。福田創楽選手のツアーコーチを務める他、様々な形で日本のジュニア育成に関わる。
2014年、株式会社1ntegratorsマネジメント会社を設立。UNIQLOのスポーツ事業のサポートに従事。
2015年からはツアーコーチを通して世界を舞台にした選手の育成や、次世代の子供たちのグローバル化をサポートするために奮闘している。

S H A R E

この記事を書いた人

考え方、行動を改善するきっかけになればと思い、各方面のプロフェッショナル、スペシャリストから考え方、意見を取り入れ「身体に負担をかけずにビジネスパフォーマンスアップするための情報サイト Refocus の編集部。

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